金山商会の東葛営業所に配属されてから一日も休むことなく出勤している亀田君。

要領がよい方ではないので失敗をしながらも嫌な顔することなく(本当は嫌な顔を見せることのないように)頑張って仕事をしています。

所長や先輩に言われたことはきちんとやる亀田君ですがある日所長からこんなことを言われました。

「いつまで新人だと思っているんだ。お客様気分じゃいかんぞ。」と。

大声で叱られたわけではありませんが、冷静な口調で言われたので帰って亀田君のショックは大きなものでした。

「なぜ所長はあんなことを言うのだろう。まだ入社して半年なので新人なのは当たり前だ。来年、次の新人が入ってくるまではおいらはれっきとした新入社員だし。」

「お客様気分で仕事をしているわけではないし。言われたことはきちっとやるし、それなのにあんなことを言うなんて・・・」

と、少々心の折れかかった亀田君。

実はこんなことがありました。

ある日東葛営業所にお得意さんがいらっしゃいました。

その人は先輩の山田さんの担当で、月に2~3回はお見えになる方です。

来社されるといつも山田先輩と30分ほど打ち合わせをして帰って行かれます。

亀田君はその内容はわかりませんが、よく見えるお客さんだなということはわかっています。

そのお客様が事務所に入ってこられたとき、担当の山田先輩は2階に上がっていましたがすぐにおりてくるだろうと、様子をみていました。

そうすると1分も経っていないのにお客さんが怒った様子で帰っていってしまいました。

亀田君は朝の掃除で忙しかったため事務所の反対側からその様子を見ていたのですが、何か不穏な空気を感じていたところ、その日の午後になって所長から「いつまで~」という指摘を受けたのです。

言われたことは真面目にやってきたのに何か間違ったことをしたのかと、きょうは戸惑いの気持ちが頭を巡っています。